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進出企業の多くは、現地サプライヤーを技術指導して、品質の向上に努めています。
昨今の円高から、進出企業のなかには、品質面に若干の不安を残しながらも現地調達を増加させたり、韓国、台湾などからの輸入に振り替えるという動きも出てきています。
ただ後者は、その場合でも品質面での信頼感から、本社の合弁相手先か技術提携先に限っているケースが多いようです。
今後も調達先を多様化させる動きは円高などから強まると予想され、研究しておく必要があるでしょう。
通産省のアンケート調査により進出企業の販売先をみると、米国では、現地販売九一%、日本向け輸出七%、第三国向け輸出二%と国内市場を目当てとした進出であることが読みとれます。
欧州では、現地販売六九%、日本向け輸出三%、第三国向け輸出二八%となっています。
このうちの第三国向け輸出は欧州向けがほとんどであり、このことは、ECへの進出の場合、EC全体を市場とした進出であることをうかがわせます。
アジアでは、現地販売六七%、日本向け輸出二%、第三国向け輸出一三%となっています。
製造業のなかでも、電気機械では、現地販売三七%、日本向け輸出三%、第三国向け輸出四二出のウエイトの大きさが際立っています。
これにより、わが国製造業の対アジア投資は、現地市場向けが主体となっているが、加工組立産業を中心としてアジアを生産基地とした国際分業戦略が急速に進んでいることがわかります。
円高の進展はこの動きを一層加速きせています。
輸出義務を課している国の中で最も厳しいのが中国です。
販売方式は、地域を問わず直販が最も多いようです。
また、日本側出資者の販売網を利用するケースも少なくありません。
なお、アジアでは、合弁形態をとるケースが多いこと、華僑が流通網を握っていることなどから、現地パートナーや代理店など現地業者を利用する比率も大きくなっています。
通産省のアンケート調査では、「現地での問題点」および「最近悪化の問題点」いずれも、最大の問題として販売競争の激化をあげています。
すなわち、前者では、米国で五五%、欧州で四七%、アジアで二〇%の企業が販売競争の激化をあげています。
後者では、それが米国で六四%、欧州で四七%、アジアで二九%となっています。
なお、この比率は、他の問題点の比率を大きく引き離しています。
このような競争の激化は、日系企業同士の競合もその一因です。
アジアで比率が低いのは、国内産業が保護されていることや、先進国ほど競合状況が厳しくないことによるものとみられます。
販売競争の激しい米国で成功している進出企業の例をみると、輸出を通じての継続的な販売実績を経て、現地販売会社を設立し、販売ルートを固めてから進出したケースが多くみられます。
親会社が米国に進出している下請企業でも、販売先を親会社のみに限定しているものは少なく、その他独自の販路確保のために努力している企業が多くみられます。
こうした堅実な進出をアジアで行ってきた企業として味の素があります。
同社の場合、日本からの輸出によって現地市場を開拓し、現地生産を可能にする程度まで輸出量が増加した時点で最小単位で生産する事例が多くみられます。
進出企業は、日本からの円建てないしはドル建て借入、第三国経由の外貨建て借入、設備・原材料・部品・製品の輸出入に伴う外貨建債権債務といった形で外貨建債権債務を抱えています。
金融市場の発達した先進国でも進出当初は、程度の差はあれ、信用力の不足から本社借入に依存している企業が多いのが実情で、まして金融市場の未発達なアジアでは、現地通貨借入の困難性や高金利から、本社やその他の外貨借入に依存するウエイトは大きくなっています。
このような進出企業の外貨建債権債務は、開発途上国の通貨切下げや変動相場制のもとでの先進主要国の通貨変動などによる為替レートの変動により影響を受けることとなり、その結果、進出企業の収益は重大な影響を被ります。
Yが米国でそれまで販売されていなかったプラスチックファスナーを開発し、新規需要の開拓に成功した話は有名です。
このように、競争の激しい市場では、現地市場の噌好に合った商品を開発し、新規需要の開拓を図ることが、難しくても重要です。
価格・品質と並んで、手厚いサービスが日本商品が世界で好評を博してきた要因です。
したがって、どの企業でもサービス体制の整備に力をいれています。
とくにアフターサービスの不可欠な業種ではきわめて大切です。
事業の計画段階からとれる対策であり、為替リスク対策の基本といえるものです。
輸出を含む販売の決済通貨と借入通貨が合致していれば、それだけリスクが軽減されます。
アジアでの事業の場合、以上の制約から現地側パートナーとの合弁形式をとらなければならないケースが多いわけですが、その場合、経営能力・資金力の十分なパートナーを見出すことは容易でなく、十分な規模の自己資本でスタートできない原因となったり、場合によっては経営の足があります。
アジアでは、シンガポール、香港を除いたほとんどの国が、輸出産業など一部の優遇業種を除いて、日本側はマイノリティであることが要請されます。
この要請が厳しいのはマレーシア、フィリピン、インドネシアです。
既存企業に対しても増資に際して出資比率の引下げが要請されること進出先国から要請される現地化は、資本の現地化、雇用の現地化、技術の現地化、原材料・部品の現地化の四つに分けられます。
先進国からの要請は雇用の現地化と原材料・部品の現地化に重点があり、開発途上国からの要請は四つのすべてに重点が置かれています。
新規投資に対する出資比率の制限、進出後の出資比率引下げ要請、フェードアウトなどという現地人の登用の問題は、これまで触れていない点に限り言及します。
この問題は開発途上国から強く要請されているばかりでなく、先進国からも滞在や就労に制限を加えられるなどの形で求められています。
現地人登用の割合は操業後の年数に比例して高められる傾向にあります。
現地側の登用への要請が根強いのに対し、中間管理者・技術者の不足を訴える進出企業は多数にのぼり、現地側の要請との間にギャップがみられます。
また、上級管理者への登用も徐々に進展をみていますが、まだ日本人の占める役割がきわめて大きいのが現状です。
しかし、現地人を登用しない会社に優秀な人材は集まりにくく、わが国サイドとしても派遣要員の制約などの問題もあり、雇用の現地化は前向きに考えている企業が多いといえます。
これも開発途上国から強く要請されています。
技術移転の対象としては、工場の操業・運営に関する技術と高度技術・開発技術の二つに大別できましょう。
工業化の進んだ国ほど高度技術をかせとなるケースもみられます。
このことからわが国企業の資本の現地化への対応は概して消極的です。
近年、アジア諸国では、日本企業の投資の低迷に対処し、現地化要請の緩和策を発表しています。
これが実際にどの程度緩和されるのかは、国別にしばらく推移をみる必要があります。
本社が現地会社をどのように管理するかは海外事業の成否に大きな影響を及ぼしますので、次にこの問題を取り上げます。
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